Wolfram言語のためのEclipseベースの統合開発環境
Wolfram Workbenchは,企業クラスの開発や配備のための高度なコード編集,ナビゲーション,プロジェクト管理ツールを提供します.パワフルなEclipseプラグインであるWorkbenchはWolfram言語,Mathematicaおよびその他のWolfram製品,テクノロジーに特化されています.
Mathematicaおよびその他のWolfram製品でWolfram言語のコードを開発する場合に,Workbenchを使うと,生産性が劇的に向上します.Workbenchはリソースの整理,ミスの削減,作業の適切な文書化のための高度なツールを提供します.Workbenchでは,高度な統合開発環境(IDE)に期待される以下のような機能すべてを利用することができます.
WorkbenchはwebMathematicaでサイトを開発するためのツールを提供します.専用エディタ,プロジェクトタイプ,サーバ制御,デバッグ,リアルタイムのログ表示で,完全な開発サイクルがサポートされます.これらのツールを1つのアプリケーションに統合することで,webMathematicaを動力とするサイトがこれまでよりも簡単・迅速に開発できます.
Workbenchを介して起動するgridMathematicaプログラムは,すべてのクラスタカーネルとWorkbenchの間の接続を構築します.これにより,gridMathematicaクラスタのすべてのカーネルに対するブレークポイントおよびスタック検査が可能になります.
WorkbenchはJ/Linkアプリケーション開発のために,以下のような多数のサポートを提供しています.
ソースコードエディタは,シンタックスカラーリング,エラー報告等によりパワフルなソースコード編集機能を提供します.エラーはすぐに対処できるよう,Problemsウィンドウとマウスオーバーでの使用法メッセージにより報告されます.Workbenchは,拡張されたコードとセクションの折りたたみ,向上したコードのホバリング,シンボルの参照検索機能を提供します.ソースコードエディタの重要な機能には次のようなものがあります.
Workbench はテキスト検索をパターン検索で補うため,コード内の特定の構文が見付けられます.例えば,ワークスペース内で2つの変数を伴うIfを含むWolfram言語コードをすべて見付けたい場合は,パターンIf[_, _]が使えます.また,この検索機能は,Wolfram言語のパターンに基づく警告およびエラーマーカのスクリプト化も提供します.
線形のシンタックスを削除したノートブックを見るために,Mathematicaあるいは他のWolfram製品ではソースエディタと比較エディタの両方を使うことができます.これによりノートブックの構造比較が非常に簡単になります.構造比較は,バージョン管理システムを使っているときや,2つのノートブックをローカルで比較するときに便利です.
デバッガはWolfram Workbenchの主要機能のひとつです.中でも便利なのは,異なるタイプのブレークポイントが使える点とコードを実行しながらそのコードを調べる式を見ることができるという点です.これにより問題を見付けて修正することができます.
WorkbenchプロファイラによりWolfram言語関数の実行の詳細を見ることができます.コードのどの部分に何度の評価と時間がかかったかを見ることで,どの部分を最適化するのが最善かということを判断することができます.
Workbenchテスタはテストを書いたり実行したりするための便利な機能を持った,コードの単体テストを実行します.このテスタはテストがすべて成功したかどうかの報告をし,失敗したものをリストにし,報告からテストファイル中の実際のテストへのリンクも提供します.
Wolfram Workbenchでは,アプリケーションやテストファイル等のすべての関連リソースをプロジェクトという一つのコンテナにまとめることができます.Wolfram言語のソースコードおよびノートブック,Javaのクラスとライブラリ,データベース接続情報を含む,多くの多様なリソースがサポートされています.
リソースを扱うツールも多様です.Wolfram言語のパターンベースの検索ツールやブラウズツールをパッケージや関数の高速検索機能と一緒に使うことで,コードのナビゲーションがこれまでよりも簡単で速くなります.
Workbenchのエキスポートウィザードを使うと,プロジェクトをローカルで配備したり,配信用にパッケージ化したりすることができます.ドキュメントを含むすべてのタイプのコンテンツがサポートされているので,開発した最新のものを確実に配備することができます.
プロジェクトのバージョン管理は,現代のソフトウェア工学にとって大変重要なものです.Workbenchは,システムに余計なツールをインストール・設定する必要なく,フル装備のGitバージョン管理システムとの統合を提供します.WorkbenchはCVSやSubversion等の多数のバージョン管理システムも組込みで,あるいは追加ツールの簡単なインストールを介してサポートします.
作成したアプリケーションのドキュメントを開発し,それをWolfram言語ドキュメントセンターに統合するためのツールがWolfram Workbenchに新たに装備されました.例えば,自分のアプリケーションの関数,ガイド,チュートリアルページを,既存のWolfram言語ドキュメントに簡単に統合することができます.
WorkbenchはMathematica,Wolfram Desktop,Wolfram Finance Platform,gridMathematica,webMathematicaで使えます.
Workbenchを使用するためには,MathematicaあるいはWorkbench対応の他のWolfram製品のインストールが必要です.
WorkbenchはWolfram言語のための強力なEclipseプラグインです.また,Wolfram言語とJavaの間の透過的な通信を提供するWolfram言語のツールキットであるJ/Linkを利用しています.
Eclipseは高度にカスタマイズ可能なプラットフォームであり,プログラミングのための主導的な統合開発環境です.Eclipseはプラットフォーム非依存であり,プラグインとして知られるモジュールを含んだ拡張メカニズムを中心に構築されています.Eclipseには,さまざまなタスクを行うための無料・有料のプラグインが多数あります.これには,HTML,XMLをはじめとする多数のWebテクノロジーのサポートの他,Java,C,C++,Fortran等の言語のサポートも含まれます.利用できるプラグインの詳細はEclipse Marketplaceでご覧ください.
Wolfram WorkbenchはWolfram版のEclipseプラグインです.WorkbenchプラグインをスタンドアロンのEclipseにインストールすることができます.
プラグインの入手およびインストール方法の詳細は,テクニカルサポートのよくある質問ページをご覧ください.
Wolfram WorkbenchにはEclipse 4.6 (Neon)以降とJava Runtime Environment (JRE) 8が必要です.最新版のEclipseおよびJavaをお使いになることをお勧めします.
はい,Eclipseには幅広いプラグインがあるので,Workbenchは多言語による開発に非常に適しています.
WorkbenchはWindows,Mac,Linuxをサポートしています.
WorkbenchはWolfram言語のバージョン10,11,12を基盤とする製品をサポートしています.