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Mathematica がビッグバンの音をシミュレート

「ある土曜日の朝,他に用事があったのですが,机の前に座り,サウンドを作成する16行の Mathematica プログラムを書きました.」

物理学者,大学教授,そして科学コラムニストであるJohn Cramer博士は,宇宙の進化の最初の76万年間におけるビックバンの音の100秒間シミュレーションを先日 Mathematica を使って作成したとWolfram Researchに語っています.ワシントン大学で教鞭を取っているCramer博士は,「結果としてできた音は,深夜に家の100フィート上空をジェット機が飛んでいるような音です」と報告しています.

Cramer博士と親交があるイギリスの科学作家Marcus Chown氏は,Cramer博士のシミュレーションについてのストーリーを11月1日付けの「New Scientist」に書きました.このストーリーが「驚くほどメディアの関心を集めたんです」とCramer博士は言います.「BBC Radio 4,BBC Radio 5,BBC Foreign Serviceという3つの異なるBBCのインタビューを含めて,繰り返しインタビューを受けています.ポーランドに住む友人がポーランドの全国ニュース放送で私がやっていることについて触れていたのを聞いたと教えてくれました.その他に,「SABAH」というトルコの新聞に大きな見出しで報じられたり,アラブのニュースサービス 「Al Jazeera」で取り上げられたり,「Shanghai Daily」新聞に掲載されたりしました.うちのローカルWebサーバは,サウンドファイルをダウンロードしようとする人が殺到して何度もクラッシュしたんですよ.」

Cramer博士は以下のように説明しています.「私は 次のような経緯でビックパンの音を作成することになったんです.私の主要研究分野は超相対論的重イオン物理学です.宇宙論や天体物理学の分野で1つ2つ論文を出版したことはありますが,それらの分野では私は研究をあまりしていません.ですが,宇宙論をしばしば扱っている「Analog」という雑誌に2ヶ月に1度の割合で科学コラムを書いてはいるんです. そのコラムの1つ「BOOMERanG and the Sound of the Big Bang」が「Analog」の2001年1月号に出版されました.この記事はWebでも見ることができます.その中でその頃行われたばかりであった南極気球飛行について書きました.この飛行では宇宙背景放射の小角構造がマップされたのですが,プロジェクトにかかわっていた科学者たちに続いて,私は宇宙が37万6000歳だったときの「ビックバンの音」の記録として,彼らが実質的に観察した気温の変化について書きました.

約1ヶ月前,私はある読者から電子メールを受け取りました.彼女の11歳の息子さんがビックバンのプロジェクトを学校でやっていて,Webの私のコラムでビックバンについて触れているのを見たということでした.彼女は,ビックバンの音が実際にどこかで録音されていて,息子さんがクラスでその音をみんなに聞かせることが可能かどうかを知りたかったわけです.私の答は「いいえ」だったのですが,彼女のおもしろい質問がきっかけで私はこの問題についていろいろ考え始めました.BOOMERanGから使用できるデータともっと最近ではWMAPからのデータに Mathematica を使えば,その音をシミュレートすることはそれほど難しいことではないなと考えたわけです.というのは,Mathematica には数学関数を.wavファイルに記録することができるサウンドにレンダリングする機能が含まれているからです./p>

ビックバンの音を合成するというアイデアは数日間私の頭の中を回っていました.私はビックバンがどのような音なのかを本当に聞いてみたいと考えたわけです.そこである土曜日の朝,他に用事があったのですが,机の前に座り,サウンドを作成する16行の Mathematica プログラムを書き,それを.wavファイルとして保存しました.NASAのWMAP衛星位置によって測定された周波数スペクトルをダウンロードして,それをプログラムの入力データとして使いました.

ノートブックがWMAPによって測定された周波数を人間の耳に聞こえるような音に適切に変換し,正弦波がすべて最大でt = 0(ビックバンの始まり)で始まると仮定して,結合します.宇宙が拡張して「バス楽器」のようになるにつれて,ノートブックが時間2/3として周波数を下げていきます.シミュレーションは100秒間で,宇宙の進化の最初の76万年を表し,宇宙マイクロ波にマッチするようにサウンドの強さを変化させます.WMAPによると,宇宙マイクロ波は37万6千年で最大になり,その頂点の両側で11万年間に36パーセント強さが下がっています.シミュレーションで使用されている音声周波数は人間の耳の反応に合せて大きな係数(約1026)で押し上げる必要がありました.というのは,実際のビックバンの周波数は低すぎて,(実際に今その音が存在していたとしても)人間には聞こえない音だからです.

.wavファイルを作成してから,私はそのコピーを電子メールで例の読者に送りました.彼女の話によると,息子さんの科学プロジェクトは大成功だったそうです.」

Cramer博士の Mathematica ノートブック,.wavファイル,シミュレーションのための入力データは,Wolfram Information Centerの「The Sound of the Big Bang」にあります.Cramer博士と彼の仕事に関する詳細は,彼のホームページをご覧ください.

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