色素濃度の測定
顕微鏡法において,画像処理の目的は見やすい画像の生成だけでなく,量的,もしくは少なくとも質的な結果の導出と抽出でもある.色デコンボリューションのアルゴリズムはその役割を果たす.これは染色された組織標本の色画像を染着量の濃度分布に変換する.
次の画像の組織は,ヘマトキシリンC19とDAB(3,3'-ジアミノベンジジン)で染色されている.
2つの染色色素の通常のRGBカラーは文献で提供されている.理論上では,染め色はその色スペクトラムに,記録カメラのCCDの赤,緑,青のチャンネルの感度スペクトラムを掛けることによって得られる.この掛け算を色コンボリューションの結果と言い,その逆の操作を色デコンボリューションと言う.これは実質的に,染色色素の色の分離である.
以下によって染色色素からRBGカラーチャンネルへの変換行列を得る.
色から染料濃度への線形の逆変換を計算する.
色吸収は染料濃度に指数関数的に比例するので,実際の分離は色の強さの対数スケールで実行される. 次は,色デコンボリューションの簡単な実装である.
ヘマトキシリンとDABの染料濃度への色デコンボリューションを実行する.
それぞれのコンポーネントに,対応する染料の色を掛ける.
疑似色で染料濃度を表す.