WOLFRAM

薬剤投与量の選択

治療用モノクローナル抗体 (mAbs)は多数の重病の治療において,ますます重要な薬物群になっています.しかし,これは非常に特殊な性質を持ち半減期が長いため,新たなmAbsについて安全なヒト初回投与量を選ぶのは難しいことがあります.この例ではWolfram System ModelerとMathematicaを使って,数学モデリングアプローチがどのようにこのような投与量の選択プロセスの役に立つかを見てみます.

モデル

この新薬では,10%標的占有率(TO)を目標としているとします.つまり,投与された量の10%の標的分子だけがmAbと結合するということです.この目標に対応する投与量はいかほどでしょうか.

薬物の薬物動態的および薬力学的挙動を説明するために標的媒介薬物の体内動態モデルが使われる.組織コンパートメントは非特異的なの組織結合または組織分布を表し,血漿コンパートメントは,注射から結合,そして最終的に直接脱離または分解までのmAbの経路を示している.血漿コンパートメントには標的分子の合成および分解も含まれ,その両方がTOに影響を及ぼす.

安全な投与量を求める

MathematicaとWolfram System Modeler Link を使うと,それぞれのシミュレーションについて最大のTOを求めることができるので,選んだ投与量でどのように最大TOが変化するかを示すプロットを作成することができます.

多数の異なる投与量に対するTOを計算することで,占有される標的分子がない場合から100%占有される場合まで,最大のTOの範囲をカバーすることができる.赤い点は各投与量に対する最大TOを示しており,右側のプロットの生成に使われる.
10%の最大TOに対応する投与量を示す用量反応曲線

生命科学のモデリング

System ModelerとBioChemライブラリを使って薬物動態モデルおよび薬力学モデルを構築します.