SI単位と物理定数
2019年5月20日から,7つのSI基本単位(秒,メートル,キログラム,アンペア,ケルビン,モル,カンデラ)が物理の基本定数の厳密値に基づくことになった.すでに厳密値である光速に加え,プランク定数,ボルツマン(Boltzmann)定数,アボガドロ(Avogadro)定数,ミリカン(Millikan)定数(素電荷と呼ばれることの方が多い)がその日から厳密値を持つことになった.
これらの定義的物理定数は,"PhysicalConstant"領域にそれ自身の実体クラスを持つ.
その新たな値は,関連する特性から取り出してまとめることができる.
物理定数と新たなSI単位の値の間の関係を保つために,これまで不確かさを含んでいた物理単位(例:ジョセフソン定数)は厳密値を持つようになった.加えて,これまで厳密値を持っていたいくつかの物理定数(磁気定数 ,電気定数 等)は有限な不確かさを持つようになった.特に,これらの数量の不確かさは,微細構造定数 およびリュードベリ(Rydberg)定数 のベキ乗の不確かさからしばしば決定される.
10個の重要な物理定数の不確かさを新しいSIで計算するために"EquivalentForms"特性を使うことができる.この特性は,従来のSIでも新たなSIでも真のままである定数間の関係を与える.
すべての不確かさを と の不確かさによって表すために,すべての形をさまざまな物理定数間の多項式関係に変換する.
各定数について,グレブナー(Gröbner)基底を使って,すべての方程式を厳密な定数と および だけを含む最小形式に簡約することができる.こうすることで,リスト中の他の定数の不確かさに主に何が関わっているかが判定できる.
以下は,こうして得られたさまざまな定数の新旧の不確かさの結果のまとめである.
このように,5月20には電子の質量が5月19日より25倍小さい不確かさで指定できるようになった.定数の中には厳密になるものもあるが,や は,微細構造定数から相対的な不確かさを継承することで不確かになった.