最適割当て問題
ある電力会社が,4つの電力発電所から5つの都市に送る電力量を求める.この電力量は,都市のピーク時の需要に見合う上で利益を最大にし,費用を最小にするものでなければならない.
この例は,指定された制約条件下で,利益に対する費用の割合を最小化するためにLinearFractionalOptimizationを使う方法を示す.行列値変数を使うことでモデリングが比較的簡単になる.
発電所 が都市 に送る電力量を とする.電力の総輸送費は( は発電所 から都市 への電力の輸送費)である.Total[m, 2]を使うと,行列 のすべての要素の合計が得られる.
電力会社の総利益は である.ここで は発電所 が都市 に電力を売って得た利益である.
各発電所によって送られた合計の電力量は で与えられる.これはその発電所が供給できる最小電力量以上でなければならない.Total[x, {2}]を使うと の各行の合計が得られる.
各都市に送られる合計電力量は で与えられる.これは最小需要より大きくピーク時の需要以下でなければならない.Total[x, 1]を使うと の列の合計が得られる.
発電所は都市に電力を与えるだけで,都市から受け取りはしない.VectorGreaterEqualを使うと,行列変数 のすべての要素がゼロ以上でなければならないことを示すことができる.
例として,4つの発電所から5つの都市へ100万キロワット時(kWh)を輸送にかかる費用は次のようになる.
それぞれの発電所が各都市に100万kWh売ることで得られる利益は以下の通りである.
それぞれの都市のピーク時の需要は4500万kWh, 2000万kWh, 3000万kWh, 3000万kWh, 4000万kWhであり,最小需要は500万kWhである.
発電所は,それぞれ最小で3500万kWh,5000万kWh,4000万kWh,4000万kWhの電力を供給することができる.
各発電所が各都市に送ることのできる最適の電力量は,費用対利益の割合を最小化することで求められる.
供給される電力の詳細である.